【Q&A解説】介護賃上げ支援を経営にどう活かす?併用・変更時の考え方を厚労省Q&Aで解説

介護分野の賃上げ支援は、単に「補助金を受け取る」ための制度ではありません。
制度の正しい理解と運用次第で、採用力の強化や職員定着、職場環境の改善につなげることが可能です。

本記事では、厚労省Q&A(問21〜問23)をもとに、他制度との併用、計画変更時の考え方、そして賃上げ支援を経営戦略として活かす視点について解説します。

この記事で分かること
  • 制度変更や例外時の、補助金対応の考え方が分かる
  • 計画変更・併用時の実務対応ポイントを整理
しゃろ☆うし

それでは、詳しく解説していくね!

Q21:休止・廃止予定だった事業所が、その後も事業を続けた場合は?

Q20では、計画書提出時点で休止・廃止が明らかな事業所は対象外とされていましたが、
Q21ではその例外的な取扱いが示されています。

計画書提出時点では休止予定で対象外とされたものの、
その後、

  • 事業所の合併・法人再編
  • 事業の承継
  • サービス種別の変更(例:地域密着型→通常型)

などにより、実態として事業が継続していると認められる場合には、
補助金を活用することが可能とされています。

ただしその場合でも、
職員体制に大きな変更がないことなど、
継続性が客観的に確認できることが前提となり、
都道府県に対する届出・確認が必要になります。

ポイント
  • 原則は「休止・廃止予定=対象外」
  • ただし 実態として継続していれば対象になる可能性あり
  • 合併・承継・サービス種別変更が代表例
  • 都道府県への確認・届出は必須

Q22:計画書で選択した補助金の使途は、あとから変更できる?

計画書の提出時点では、
補助金の使途として 「職場環境改善経費」 を選択していた場合でも、
その後の実施状況に応じて 「賃金改善」 を行った場合、
実績報告では 賃金改善分として報告することが可能 とされています。

ただし、これは
「自由に使途を変更してよい」という意味ではなく、
実態に即した報告への修正として認められるものです。

このような変更が生じる場合には、
事務負担を抑える観点から、
計画書の再提出ではなく、実績報告時に反映する形で対応することが想定されています。

ポイント
  • 計画時と実績で使途が変わることはあり得る
  • 実際に行った内容に合わせて 実績ベースで報告可能
  • 原則として 計画書の出し直しは不要
  • ただし「想定外の使途変更」が常態化するのはNG

Q23:他の補助金・交付金と併用することはできる?

本補助金と 他の補助金・交付金を併用すること自体は可能 とされています。
ただし、同一の経費について二重に補助を受けることは不可 です。

つまり、

  • 同じ人件費・同じ取組内容に対して
    複数の補助金を重ねて受け取ることはNG
  • 役割や対象を分けて活用する
    併用はOK

という整理になります。

例えば、

  • 本補助金は「介護職員等の賃金改善」に活用
  • 他の交付金は「対象外経費の補完」や「上乗せ支援」として活用

といった形で、使い分けることが想定されています。

ポイント
  • 併用そのものは禁止されていない
  • 同一経費への二重補助は不可
  • 補助金ごとの「目的・対象」を整理して使い分けることが重要

まとめ|制度は「実態に合わせて使う」ことが前提

Q21~Q23では、
本補助金が 形式的な運用ではなく、実際の事業運営に即した柔軟な考え方 を前提としていることが読み取れます。

事業の再編やサービス種別の変更、
計画時点では想定していなかった運営上の変更が生じた場合でも、
事業の実態として継続していることが確認できれば、補助金の活用が認められる余地がある
という点は、事業者にとって重要なポイントです。

また、計画書で選択した補助金の使途についても、
実際の運用に応じて 実績ベースで修正・報告できる ことが示されており、
「計画どおりに進まなければ即NG」という硬直的な制度ではありません。

さらに、他の補助金・交付金との併用についても、
同一経費への二重補助は禁止される一方で、目的や対象を分けた活用は可能 とされており、
複数の支援制度を組み合わせて活用する余地があることが明確になっています。

今回のQ&A全体を通して言えるのは、
この補助金が
「書類を揃えること」よりも「実際に賃金改善や職場改善が行われているか」
を重視している制度である、という点です。

最後に|Q&Aを踏まえて、いま介護事業者が押さえておきたいこと

今回のQ&A(問1~23)を通して見えてくるのは、
今回の賃上げ支援補助金が、単なる一時金や形式的な給付ではなく、実際の賃金改善・職場環境改善を後押しするための制度であるという点です。

一方で、

  • 基準月の考え方
  • 対象職員の範囲
  • 補助金の使い道
  • 計画と実績のズレへの対応
  • 他制度との併用可否

など、
現場で判断に迷いやすいポイントが非常に多い制度でもあります。

特に、
「これは対象になるのか」
「計画どおりに進まなかったが大丈夫か」
「自治体対応はどうなるのか」
といった点は、事業所ごとの状況や都道府県の運用によって判断が分かれるケースも少なくありません。

補助金を“もらうこと”が目的になってしまうと、
後からの確認や実績報告で負担が増えたり、
思わぬ修正対応が必要になることもあります。

大切なのは、
自事業所の実態に合った形で、無理のない運用設計を最初に行うこと。

今回のQ&Aは、そのための「判断材料」として非常に有効です。


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投稿者プロフィール

谷山 雄大
谷山 雄大社会保険労務士
社会保険労務士Office ALMAは、神奈川県横須賀市を拠点とし、全国のお客様に対して、処遇改善加算サポートをはじめとする医療機関や中小企業の労務管理を専門としています。特に労務相談対応、処遇改善加算サポート、行動分析学を用いた人事評価制度構築・運用を得意とし、事業主をトータルでサポートします。課題解決に伴走するパートナーとして、実務的で現実的な提案を行います。

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