【2026年6月施行】介護報酬改定で「処遇改善加算」はどう変わる? 3つの重要ポイントを徹底解説

2026年6月、介護現場で働く皆さまの処遇をさらに改善するため、介護報酬の臨時改定が実施されます。今回の改定では、月額1万円をベースとした賃上げに加え、加算の対象範囲や仕組みが大きく見直されます。

経営者さまや管理者さまが知っておくべき、主な変更点を3つのポイントでまとめました。

この記事で分かること
  • 2026年処遇改善加算の改定内容、賃上げ額や対象拡大を徹底解説
  • 新設される加算の算定要件を網羅
しゃろ☆うし

それでは、詳しく解説していくね!

名称が「介護従事者処遇改善加算」へ! 事務職なども対象に拡大

これまで主に介護職員を対象としていた「介護職員等処遇改善加算」が、「介護従事者処遇改善加算」へと衣替えします。

  • 全職種への拡大: 介護職員だけでなく、これまで対象外だった事務職員などを含む、介護現場を支える全ての従事者が賃上げの対象となります。
  • 賃上げ幅: 全ての従事者で月額1万円(3.3%相当)、生産性向上に取り組む上乗せ分(7,000円)や、事業所による定期昇給分(約2,000円)を含め、最大で月額1万9,000円の引き上げを目指す内容となっています

訪問看護やケアマネも対象! サービスの垣根を越えた拡充

これまで処遇改善加算の対象外だったサービスにおいて、新たに加算が創設されます。

  • 訪問看護・介護予防訪問看護: 1.8%
  • 訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハ: 1.5%
  • 居宅介護支援・介護予防支援: 2.1%

「生産性向上」が上位区分(ロ)の鍵! 加算率が大幅アップ

既存の加算I・IIに、テクノロジー活用を要件とする「ロ」という区分が新設されます。この要件を満たすことで、より高い加算率を算定できるようになります。

  • 訪問・通所型: 「ケアプランデータ連携システム」の導入(または見込み)が要件です。
  • 施設・居住型: 「生産性向上推進体制加算」の取得(または見込み)が要件となります。
  • 最大加算率の例: 訪問介護では最大28.7%、通所介護では最大12.0%、介護老人福祉施設では最大17.6%など、大幅な引き上げが設定されています。

【必見】「誓約」による早期算定の特例措置

新しい要件(キャリアパス要件や職場環境要件、システム導入など)の整備には時間がかかりますが、「2026年度(令和8年度)中に対応する」という誓約を行うことで、6月の施行当初から加算の取得や上位区分への移行が可能となる配慮措置が検討されています。

主要サービスの加算率一覧(加算Ⅰ 2026年6月施行)

サービス種別加算I「イ」 (従来要件)加算I「ロ」 (新要件・最大)
訪問介護27.0%28.7%
夜間対応型・定期巡回型26.7%27.8%
認知症対応型通所介護21.6%23.6%
認知症対応型共同生活介護 (グループホーム)21.0%22.8%
小規模多機能型居宅介護17.1%18.6%
看護小規模多機能型居宅介護16.8%17.7%
介護老人福祉施設 (特養)・短期入所生活介護16.3%17.6%
特定施設入居者生活介護14.8%15.9%
訪問入浴介護12.2%13.3%
地域密着型通所介護11.7%12.7%
通所介護 (デイサービス)11.1%12.0%
通所リハビリテーション10.3%11.1%
介護老人保健施設 (老健)9.0%9.7%
介護医療院6.2%6.6%

主要サービスの加算率一覧(加算Ⅱ~Ⅳ 2026年6月施行)

サービス種別加算II「イ」
(従来要件)
加算II「ロ」
(新設)
加算III加算IV
訪問介護24.9%26.6%20.7%17.0%
夜間対応型・定期巡回型24.6%25.7%20.4%16.7%
認知症対応型通所介護20.9%22.9%18.5%15.7%
認知症対応型共同生活介護20.2%22.0%17.9%14.9%
小規模多機能型居宅介護16.8%18.3%15.6%12.8%
看護小規模多機能型16.5%17.4%15.3%12.5%
介護老人福祉施設 (特養)15.9%17.2%13.6%11.3%
特定施設入居者生活介護14.2%15.3%13.0%10.8%
訪問入浴介護11.6%12.7%10.1%8.5%
地域密着型通所介護11.5%12.5%10.5%8.9%
通所介護 (デイサービス)10.9%11.8%9.9%8.3%
通所リハビリテーション10.0%10.8%8.3%7.0%
介護老人保健施設 (老健)8.6%9.3%6.9%5.9%
介護医療院5.8%6.2%4.7%4.0%

区分のポイントと要件

  • 加算II「ロ」(新設): 従来の加算IIの要件に加え、訪問・通所系は「ケアプランデータ連携システム」、施設系は「生産性向上推進体制加算」の導入・取得(または見込み)が条件となります。
  • 加算III・IV: 月額1万円の賃上げを主目的とした区分であり、加算IVは職場環境改善(28項目中7項目以上)などの基礎的な要件で構成されます。
  • 経過措置(誓約): 加算II「ロ」などの上位区分へ移行する場合、要件整備に時間がかかることを考慮し、「2026年度(令和8年度)中に対応する」という誓約を行えば、6月から算定が可能となる特例が設けられます。

なお、新たに加算対象となる訪問看護(1.8%)居宅介護支援(2.1%)については、区分は設けられず、加算IVに準ずる要件を満たすことで単一の加算率が適用されます。

【まとめ】2026年6月「介護従事者処遇改善加算」の重要ポイント

今回の改定は、深刻な人材不足を解消し、他産業との賃金格差を埋めるための「過去最高水準」のプラス改定となります。

  • 全スタッフが対象の賃上げ: 名称が「介護従事者処遇改善加算」に変わり、介護職員だけでなく、現場を支える事務職員などの全ての従事者が月額1万円(3.3%相当)の賃上げ対象となります。
  • 対象サービスの拡大: これまで加算がなかった訪問看護(1.8%)や居宅介護支援(ケアマネジャー/2.1%)などにも新たに処遇改善の枠組みが設けられます。
  • 「生産性向上」と連動した高い加算率: ケアプランデータ連携システムの導入や、見守り機器等のテクノロジー活用(生産性向上推進体制加算の取得)を行うことで、訪問介護で最大28.7%、通所介護で最大12.0%といった極めて高い加算率(区分I「ロ」)が適用されます。
  • 早期取得への配慮: 新システム等の要件整備が間に合わない場合でも、「2026年度(令和8年度)中に対応する」という誓約を行うことで、6月の施行当初から加算を算定できる特例が設けられています。

今回の「介護従事者処遇改善加算」への衣替えは、単なる給与の底上げにとどまりません。テクノロジーの導入による「生産性向上」を要件に組み込むことで、事務作業などの付随業務を効率化し、スタッフがより「ケアの本質」に時間を使える環境を創ること、そして現場の心理的負担を軽減し、ワークライフバランスを改善することが真の目的です。

人材の確保と定着は、質の高い介護サービスを持続するために不可欠な土台です。当事業所(法人)におきましても、この新たな加算制度を積極的に活用し、ICTの力を借りて「働きやすさ」と「ケアの質」を両立させてまいります。スタッフの皆さまが誇りを持って長く働き続けられる職場、そして利用者さまがより安心して過ごせる環境を目指し、一丸となって取り組んでいきましょう。

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投稿者プロフィール

谷山 雄大
谷山 雄大社会保険労務士
社会保険労務士Office ALMAは、神奈川県横須賀市を拠点とし、全国のお客様に対して、処遇改善加算サポートをはじめとする医療機関や中小企業の労務管理を専門としています。特に労務相談対応、処遇改善加算サポート、行動分析学を用いた人事評価制度構築・運用を得意とし、事業主をトータルでサポートします。課題解決に伴走するパートナーとして、実務的で現実的な提案を行います。

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