【2025年度版】キャリアパス要件Q&A完全解説|要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違いと整備ポイントまとめ

~令和7年度処遇改善加算に向けた実務対応のポイント~
令和7年度から適用される処遇改善加算に関して、キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲについての疑問に、厚生労働省がQ&A形式で回答しています。ここでは、その内容を分かりやすく整理し、実際の事業所での整備や運用に役立つようポイントを加えています。
- 実務での整備・運用の具体例
- よくある疑問と対応のポイント

制度の名前はカタくても、中身は意外とシンプル。この記事で、モヤモヤを一緒に晴らしていこう!
「就業規則等の明確な根拠規定」の「等」とは?
「等」には、就業規則だけでなく、法人全体の運用方針を記載した取扱要領や、常時10人未満の事業場で作成されている内規・マニュアルも含まれます。(必ずしも就業規則でなくてもよい)
要は、職員の昇格や任用に関する基準や賃金体系が、職員にとって明確であり、かつ書面で整備されていることが大切です。
実務ポイント
令和7年度の「別紙様式2(参考2)」に、キャリアパスや賃金規程のモデル例が掲載されています。特に就業規則の作成義務がない小規模事業所では、このモデルを活用し、簡易的な「職員ハンドブック」のような形で整備しておくのも有効です。
キャリアパス要件Ⅱの「職員との意見交換」はどんな方法がある?
福祉・介護職員の意見を幅広く聴取することが求められており、方法は柔軟に考えてOKです。
例えば
- 面談やミーティングでの対話
- アンケートやGoogleフォームを用いた意見集約
- 労働組合との協議 など
実務ポイント
形式的な取り組みではなく、「意見が反映された」「改善につながった」と職員が実感できるように、フィードバックの場を設けると信頼度が上がります。
キャリアパス要件Ⅱの「資質向上のための目標」とは?
キャリア形成の方向性に沿って、職員個人のスキルアップや資格取得を目指す目標を設定します。
具体例としては:
- 技術・能力(例:介護技術、接遇、マネジメント力)の向上
- 介護福祉士や保育士などの国家資格の取得促進
- 他職種連携を意識したスキル(コミュニケーション・課題解決)の強化 など
実務ポイント
人事考課や研修と連動させることで、目標の実効性が高まります。目標は「個別」でも「部署単位」でもOKです。
キャリアパス要件Ⅱの「資質向上のための計画」とは?
あらかじめ計画を立てて、継続的に研修やOJTなどを行う枠組みのことです。計画には、
- 実施する研修内容や頻度
- 対象者
- 実施の目的や期待される成果
などを明示し、無理のない範囲で設定することが大切です。
キャリアパス要件Ⅱの「福祉・介護職員の能力評価」とは?
評価の方法としては、
- 本人による自己評価
- 上司・管理者によるフィードバック面談
- 指導職員(リーダー・ユニット長など)による観察評価
などが想定されます。
形式にこだわる必要はありませんが、「能力に対する認識と評価が一致しているか」を確認する場として運用することが重要です。
実務ポイント
評価シートや面談記録など、評価内容が記録に残る形にしておくと、加算の根拠資料としても活用できます。
キャリアパス要件ⅠとⅢの違いは?
簡単に言うと…
- 要件Ⅰ: 賃金体系や職位ごとの要件を明文化する「仕組みづくり」
- 要件Ⅲ: 実際に、経験や評価に応じて「昇給する運用体制」が整っているかどうか
実務ポイント
「職位ごとの基準はあるけど、昇給までは明確でない…」という事業所は、Ⅰは満たしていてもⅢは未整備となりますので要注意です。
昇給は「手当」や「賞与」でもよい?
基本給での昇給が望ましいですが、手当や賞与を通じて賃金を改善する形でもOKです。
ただし、昇給の「基準」が明文化されており、実際に支給されていることがわかる形であることが必要です。
非常勤職員や派遣職員も対象?
はい、福祉・介護職員であれば、雇用形態にかかわらず対象です。
派遣職員も、派遣元との協議を行い、派遣料金を通じて昇給相当分が支払われるようにすることで、加算対象とすることができます。
実務ポイント
この場合、計画書・実績報告書にも派遣職員を含めて記載する必要があります。事前に派遣会社と合意しておくことが大切です。
「一定の基準に基づく昇給」とは?
昇給の基準や条件が、客観的に定められていて文書化されていることが求められます。
- 資格を取得したら○円昇給
- 勤続○年経過ごとに○円昇給
- 能力評価で一定の水準に達した場合に昇給
など
実務ポイント
「毎年4月に昇給を判定する」「評価基準に応じて昇給額を変える」など、昇給時期も明記しましょう。
令和6年度中に整備が間に合わなかったら返還対象?
原則として、整備が間に合わなければ返還の対象になります。
ただし、以下の条件を満たせば返還は不要です:
- 令和7年度の処遇改善計画書で再度、要件整備を誓約
- 引き続き加算を取得する
この場合、令和6年度の実績報告書では「記載内容に変更なし」として提出可能です。
実務ポイント
やむを得ず間に合わなかった場合でも、令和7年度で必ず整備を完了し、実績報告書に反映させましょう。
最後に

キャリアパス要件は、加算取得のためだけでなく、職員のやりがいや成長につながる仕組みとして位置づけられています。事業所の実情に合わせた柔軟な対応が求められる一方で、文書による整備や評価の記録など、形式面の整備も重要です。
制度を活かし、働き続けられる職場づくりを進めていきましょう。
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