【2025年対応】見落とし注意!処遇改善加算の対象職員と配分ルール

福祉・介護職員等処遇改善加算(以下「処遇改善加算」)の制度が2025年度(令和7年度)に変更され、賃金改善に関するルールが整理されました。本記事では、前回に引き続き3月7日に厚生労働省より発表された「福祉・介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和7年度分)」および「福祉・介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」の内容を踏まえ、賃金改善の基準や計算方法、対象となる経費、申請時の注意点など、重要なポイントを詳しく解説します。
- 処遇改善の対象となる職員の範囲と判断基準
- 派遣・出向・外国人職員の加算対象可否と対応方法
- 配分ルールや兼務時の賃金計算の実務上の注意点

前回に引き続き、分かりやすくまとめてみたよ!
賃金改善の対象者の設定
処遇改善加算の配分は、基本的に福祉・介護職員に対して行うことが前提ですが、業務実態を踏まえた柔軟な職種間配分も可能です。特に、経験・技能のある職員を優先的に評価し、重点的に配分することが推奨されています。たとえば、長年勤続して専門性を有する職員やリーダー的役割を担う職員に対して、より手厚い改善を行うことが可能です。
年収440万円以上の職員も対象か?
従来の旧特定加算では、賃金が一定水準(年収440万円以上)の職員は対象外とされることもありましたが、令和6年度以降は年収額に関わらず、処遇改善加算による賃金改善の対象に含めることが可能になりました。これにより、中堅・ベテラン職員のモチベーション維持・向上にもつなげることができます。
外国人介護職員・EPA・技能実習生も対象か?
以下の外国籍職員も、処遇改善加算の対象となります。
- EPA介護福祉士候補者:雇用契約上、日本人と同等以上の報酬を得る必要があるとされており、加算対象とされます。
- 介護職種の技能実習生:技能実習制度でも同様に、日本人と同等以上の報酬が要件であり、加算の対象です。
- 特定技能(1号)外国人:この在留資格で就労している職員も対象とされ、日本人と同様の取り扱いを受けます。
いずれも、制度上の平等な待遇が前提となっていることから、加算を通じて適切な処遇を行うことが求められます。
派遣職員も対象になるのか?
派遣労働者も処遇改善加算の対象に含めることが可能です。ただし、対象とする場合は以下の点を確実に実施する必要があります。
- 派遣元と十分に協議し、加算による派遣料の上乗せ分が実際に派遣職員の賃金に反映されるようにすること
- 処遇改善計画書・実績報告書に派遣職員の情報も正確に反映させること
適切な調整を行わない場合、派遣料だけが増えて職員の処遇が改善されないという不適切な運用になりかねません。
出向者・業務委託職員の扱い
在籍型の出向者や、法人と契約関係にある業務委託職員についても、派遣職員と同様に処遇改善加算の対象に含めることが可能です。重要なのは、実際に加算対象のサービス提供に関わっているかどうかで判断することになります。
一部職員に賃金改善を集中させてもよいか?
法人全体で加算額以上の賃金改善を行っていれば、一部の職員や特定の事業所に重点配分することは可能です。
ただし、以下の点に注意が必要です。
- 勤務実態や職責に見合わない不公平な配分は認められない
- 加算の配分方法は全職員に対して周知を行うこと
- 職員からの照会には、書面などを活用して丁寧に説明する義務がある
加算の配分は透明性を持って行うことが重要です。
職員が障害福祉・介護サービスを兼務している場合の計算方法
複数のサービス(例:障害福祉サービスと介護保険サービス)を兼務している職員については、常勤換算(FTE)に基づいて、処遇改善加算の対象となる部分を按分計算します。
- 原則として、処遇改善加算の対象となる事業所での勤務割合に応じて賃金を計上
- 按分が難しい場合は、実際にその職員が対象事業所から得ている給与額で判断することも認められています
法人本部職員や加算対象外の事業所職員は含められるか?
- 法人本部職員については、処遇改善加算の対象となるサービス事業所の運営に関与している場合、その業務割合に応じて賃金改善の対象に含めることができます。
- 一方で、処遇改善加算を算定していない障害福祉サービス事業所や、加算対象外のサービスを提供している事業所の職員は、加算を原資とした賃金改善の対象にはなりません。
対象範囲を明確に区別し、加算の適正な運用を心がけましょう。
まとめ

本記事では、処遇改善加算の対象となる職員の範囲や、外国人・派遣・出向職員の扱い、賃金配分の考え方、兼務時の計算方法など、実務に欠かせないポイントを解説しました。配分の透明性を保ちつつ、制度を正しく理解して活用することが、職員の処遇改善と事業の信頼性向上につながります。
※詳しくは厚生労働省の資料をご確認お願いいたします。
「福祉・介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」について 554461.pdf
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