【2025年度】福祉・介護職員の処遇改善加算制度|賃金改善のポイントを徹底解説!

福祉・介護職員等処遇改善加算(以下「処遇改善加算」)の制度が2025年度(令和7年度)に変更され、賃金改善に関するルールが整理されました。本記事では、賃金改善の基準や計算方法、対象となる経費、申請時の注意点など、重要なポイントを詳しく解説します。
- 処遇改善加算の賃金改善についての基本ルール

分かりやすく説明をしていくね!
賃金改善の基準点はいつの時点?
処遇改善加算を算定する事業者は、加算額に相当する賃金改善を実施する義務があります。基準となる賃金水準は、加算を適用しない場合の賃金水準との比較によって算出されます。
賃金改善の基準点の考え方
- 原則:加算を算定する前年度の賃金水準を基準とする。
- 例外:
- 事業所の職員構成が大きく変わっている場合
- 事業所が新規開設で前年のデータがない場合 → 処遇改善加算を除いた報酬見込額に基づき、営業計画・賃金計画を策定して推計することが可能。
加算を算定しない場合の賃金水準を正しく設定することは、加算の適正な活用において非常に重要です。職員の給与水準が実際にどのように変化するのかを客観的に把握し、賃金改善の根拠を明確にしておくことが求められます。また、これにより適正な加算の申請が行われ、不正受給や指摘を受けるリスクを回避することにもつながります。
「決まって毎月支払われる手当」とは?
「決まって毎月支払われる手当」とは、労働の対価として、個人の事情に関係なく支給される手当を指します。
対象となる手当
- 職能手当(業務スキルや能力に応じた手当)
- 資格手当(介護福祉士やケアマネジャーなどの資格取得者に支給)
- 役職手当(主任・リーダー職など)
- 地域手当(特定地域で勤務する職員向け)
- 処遇改善手当(処遇改善加算を原資とする手当)
これらの手当は、職員の職務内容やスキルに基づいて支給されるため、賃金改善の対象となります。
対象外の手当
- 通勤手当、扶養手当(個人の事情による支給のため対象外)
- 支給の有無が月ごとに変動する手当(安定した賃金とはみなされないため)
例えば、通勤手当は勤務先や交通手段によって支給額が異なるため、処遇改善加算の対象にはなりません。逆に、職能手当や役職手当のように、職務内容や責任の大きさに応じて支払われる手当は、処遇改善加算の賃金改善額として認められます。
時給・日給の引上げは基本給の引上げに含まれるか?
時給・日給の引上げは、基本給の引上げとして扱われるため、処遇改善加算の賃金改善額に含めることが可能です。
適用例
- 時給制の職員 → 時給1,000円を1,100円に引き上げた場合、その100円分は基本給の引上げとみなされる。
- 日給制の職員 → 日給8,000円を9,000円に引き上げた場合も同様に扱われる。
- 時給や日給に上乗せされる手当 → 毎月安定的に支給される場合、処遇改善加算の対象とすることが可能。
一方、残業手当や成果給など、労働時間や業績に応じて変動する賃金は対象外となります。処遇改善加算の適用を受けるためには、毎月一定額が支払われる賃金形態を維持することが重要です。
キャリアパス要件及び職場環境改善要件に関する費用の扱い
処遇改善加算を受給するためには、一定のキャリアパス要件や職場環境改善要件を満たす必要があります。しかし、これらの取り組みにかかる費用を賃金改善額に含めることはできません。
キャリアパス要件とは?
事業者は、職員のキャリアアップを支援する仕組みを整えることが求められます。具体的には、以下のような取り組みが該当します。
- 資格取得支援(介護福祉士やケアマネジャーなどの資格取得費用の補助)
- 研修受講の機会提供(専門スキルを向上させるための社内外研修の実施)
- 昇給制度の整備(経験や資格取得に応じた昇給制度を明文化)
職場環境改善要件とは?
職員の働きやすい環境を整えるため、以下のような取り組みが求められます。
- 職員の負担軽減(ICTの導入、業務効率化)
- ハラスメント対策(相談窓口の設置、研修の実施)
- 育児・介護との両立支援(短時間勤務制度の導入など)
賃金改善額に含めることができない費用
- 研修費用や資格取得補助費用
- 施設の設備改善やICT導入にかかる費用
- 福利厚生費(例えば、職員の昼食補助など)
処遇改善加算は、あくまで賃金の引上げに使用するものであるため、これらの費用を加算額として報告することはできません。
最低賃金との関係について
処遇改善加算の適用を受けることで、加算額の計算にあたって最低賃金との関係について注意が必要です。
最低賃金を下回ることを防ぐために
処遇改善加算の対象となる事業所は、最低賃金を満たすことが前提です。そのため、加算を適用する前の基本給が最低賃金を下回っている場合、最低賃金を満たしたうえで賃金を引き上げていただくことが望ましいとされています。
事業所としては、最低賃金を満たすよう給与体系を見直し、処遇改善加算を活用しながら適正な賃金水準を維持することが重要です。
まとめ|処遇改善加算のポイント

処遇改善加算を適正に活用し、職員の賃金改善と働きやすい環境整備を進めていきましょう!
次回は、申請手続きや実績報告のポイントについて詳しく解説します。
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投稿者プロフィール

- 社会保険労務士
- 社会保険労務士Office ALMAは、神奈川県横須賀市を拠点とし、処遇改善加算サポートをはじめとする医療機関や中小企業の労務管理を専門としています。特に労務相談対応、処遇改善加算サポート、行動分析学を用いた人事評価制度構築・運用を得意とし、事業主をトータルでサポートします。課題解決に伴走するパートナーとして、実務的で現実的な提案を行います。
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