令和6年度 介護人材確保・職場環境改善等事業(補助金)とは?

令和6年度の介護報酬改定に伴い、介護現場で働く職員の処遇改善を目的とした「介護人材確保・職場環境改善等事業」が実施されることになりました。この事業は、介護職員の賃上げや職場環境の向上を支援するために、介護サービス事業所へ補助金が支給される制度です。

この記事では、この制度の概要や対象となる事業所、補助金の使い道、申請の流れについて詳しく解説します。介護サービス事業を運営されている方は、ぜひ最後までご覧いただき、活用をご検討ください。

この記事で分かること
  • 「介護人材確保・職場環境改善等事業」の概要(目的や補助金の内容)
  • 補助金の対象事業所と申請の流れ
  • 活用時の注意点
しゃろ☆うし

「この補助金、うちの事業所も対象になる?」
「申請って大変じゃない?」
「補助金をどう活用すればいい?」

この記事でスッキリ解決!ぜひチェックしてみてください!

事業の目的

この事業の最大の目的は、介護現場における人材確保と職場環境の改善です。現在、介護業界では深刻な人材不足が続いており、特に賃金水準の低さや業務負担の大きさが問題視されています。

そのため、以下の取り組みを支援することで、介護職員が働きやすい環境を整え、長く続けられる職場づくりを目指します。

  • 介護職員の賃金向上
  • 職場環境の改善(設備投資や業務効率化のための施策)
  • 人材定着のための支援策

対象となる事業所

本事業の対象となるのは、処遇改善加算(Ⅰ~Ⅳ)を取得している介護サービス事業所です。

ただし、すべての介護事業所が対象となるわけではなく、次のようなサービスは対象外となります。

対象外のサービス

  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 福祉用具貸与
  • 介護予防支援 など

対象となる介護サービス事業所については、お住まいの都道府県や自治体の情報を確認することをおすすめします。

補助金の内容

補助額の計算方法

補助金の支給額は、以下の計算式によって決まります。

補助額=1か月あたりの介護報酬×サービス類型別交付率

介護保険事業費補助金 - サービス類型別交付率
サービス区分交付率
訪問介護10.5%
夜間対応型訪問介護10.5%
定期巡回・随時対応型訪問介護看護10.5%
(介護予防)訪問入浴介護6.3%
通所介護6.4%
地域密着型通所介護6.4%
(介護予防)通所リハビリテーション5.5%
(介護予防)特定施設入居者生活介護7.4%
地域密着型特定施設入居者生活介護7.4%
(介護予防)認知症対応型通所介護13.2%
(介護予防)小規模多機能型居宅介護8.4%
看護小規模多機能型居宅介護8.4%
(介護予防)認知症対応型共同生活介護11.3%
介護福祉施設サービス8.3%
地域密着型介護老人福祉施設8.3%
(介護予防)短期入所生活介護8.3%
介護保健施設サービス4.3%
(介護予防)短期入所療養介護(老健)4.3%
介護医療院サービス2.7%
(介護予防)短期入所療養介護(病院等・医療院)2.7%

上記のように、サービスの種類によって補助率が異なります。

また、交付対象となる基準月は原則として「令和6年12月」とされていますが、事業所の状況によっては「令和7年1月~3月」のいずれかの月を対象とすることも可能です。

補助金の使い道

補助金は、以下の2つの用途に充てることができます。

※ 職場環境改善のための経費については現状解釈の余地が広く、Q&Aなどを参考に検討していく必要があります。

  1.  職場環境改善のための経費(研修費、介護助手の採用費、労働環境の整備費 など)
  2.  人件費の改善(給与・手当・賞与などへの充当。ただし退職金には使用不可)

補助金を活用することで、介護職員の処遇を改善し、離職率の低下を目指すことができます。

補助金の要件

補助金を受けるためには、介護サービス事業者または介護保険施設(介護予防・日常生活支援総合事業の事業者を含む)が、以下のいずれかの取組を計画または実施している必要があります。

  1. 業務の見える化:介護職員の業務の棚卸しや課題の洗い出しを行い、現場の改善点を明確にする。
  2. 業務改善の体制づくり:委員会やプロジェクトチームを立ち上げたり、外部の研修会を活用して業務改善を推進する。
  3. 業務内容と役割分担の明確化:職員間の適切な役割分担を見直し、業務の効率化を図る。

申請の流れ

① 計画書の作成・提出

補助金を申請するには、「介護人材確保・職場環境改善等事業計画書」を作成し、都道府県へ提出する必要があります。

② 事業の実施

補助金を活用して、職場環境改善や賃金向上のための施策を実施します。

③ 実績報告書の提出

事業完了後、どのように補助金を活用したのかを報告する「介護人材確保・職場環境改善等実績報告書」を提出し、適正な運用が行われたことを証明する必要があります。

注意点

① 補助金を適切に活用することが求められる

補助金は、職場環境の改善や介護職員の待遇向上に使用しなければなりません。不適切な利用が発覚した場合、返還命令が出ることもあります。ただし、補助金の使途には解釈の余地が広いため、今後の厚労省からのQ&Aを確認しながら適切な運用を行う必要があります。次回以降の記事でも詳しく解説します。

② 実施事業が監査対象となる可能性がある

補助金の適正な運用を確保するため、都道府県が監査を実施する場合があります。書類の保管や事業の記録はしっかりと行いましょう。

まとめ|ご相談はお気軽に!

「介護人材確保・職場環境改善等事業」は、介護現場の負担を軽減し、人材確保につなげるための重要な制度です。補助金を活用することで、事業の安定化と職員の定着が期待できます。

しかし、申請手続きや報告義務があるため、「どこから手をつけていいかわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?

当事務所では、介護事業所の労務管理や処遇改善加算のトータルサポートを行っています。今回の補助金についてもお手伝いすることができますので、「申請方法がわからない」「計画書の作成が難しい」と感じたら、お気軽にご相談ください!

投稿者プロフィール

谷山 雄大
谷山 雄大社会保険労務士
社会保険労務士Office ALMAは、神奈川県横須賀市を拠点とし、処遇改善加算サポートをはじめとする医療機関や中小企業の労務管理を専門としています。特に労務相談対応、処遇改善加算サポート、行動分析学を用いた人事評価制度構築・運用を得意とし、事業主をトータルでサポートします。課題解決に伴走するパートナーとして、実務的で現実的な提案を行います。

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