ベースアップ評価料の運用方法について

1. 「2割余裕を残す」戦略

ベースアップ評価料は、主に初診・再診件数(訪問看護の場合は利用者数)に応じて支払われます。

そのため、時期やタイミングによっては支給額にばらつきが生じることがあります。

一度決定したベースアップ評価料を原資とした支給額を下げるのは難しいため、ベースアップ評価料の約1~2割を余力として残し、運用することをお勧めします。これにより、様々な状況に柔軟に対応することが可能です。

支給額が安定してくれば、支給額をアップすることも検討できます。

2. 法定福利費の計上による医療機関側の負担減

① 法定福利費の計上

ベースアップ評価料の使途は、主に対象従業員のベースアップ(給与の底上げ)ですが、そのベースアップをしたことによる医療機関の負担の一部を補うこともできます。

ここでいう「法定福利費」とは、労働保険料(労災保険料、雇用保険料、社会保険料)の事を指します。この「法定福利費」は、従業員の給与を基に算出するものであるため、ベースアップ評価料を用いベースアップを行うことで、当然にその分増加することになります。

そこでベースアップした分の法定福利費を計上し、その金額を管理しておくことで、ベースアップした分の医療機関の負担をベースアップ評価料から捻出することができます。

② 時間外手当の計上

ベースアップした従業員が時間外労働をした場合、ベースアップした分、時間外労働に対する割増賃金も上昇します。

以下具体例をお示しします。

月給240,000円(1か月平均の労働時間が160時間) 

上記の方が1時間残業をした場合、1,875円の残業代が掛かります。

月給240,000円 ベースアップ評価料10,000円(1か月平均の労働時間が160時間) 

上記の方が1時間残業をした場合、1,954円の残業代が掛かります。(ベースアップ評価料分の残業代として79円掛かる。)

上記の例ですと1時間の残業代なので少額に感じるかもしれませんが、人数が多く、残業時間がそれなりにある場合は、大きな金額となります。

しかし、①の法定福利費同様に、こちらの残業代もベースアップ評価料から捻出することができるため、別でしっかりと管理することにより医療機関の負担を減らすことができます。

3. 支給の仕方

ベースアップ評価料の支給の仕方についてですが、分かり易さや管理のしやすさなどを考慮すると、

「〇〇手当 〇〇〇〇円」

とするのがおススメになります。

4. 賃金規程の工夫

ベースアップ評価料の支給方法について、賃金規程等に記載することが必要となりますが、この制度が永遠に続くということまでは決まっていない為(厚労省からの公式アナウンスは無いので、令和8年4月以降は不透明)、賃金規程等の記載方法に少し工夫が必要になります。

5. 厚労省が考える適切な使途

月次の管理や手当の金額の決定など煩雑なことが多いので、いっそのこと半年に一回賞与として支払ってしまう方が楽だと思いませんか?

こう考える方もいらっしゃると思います。

ただし、厚労省がいうベースアップ評価料の使途としては、月次のベースアップに充てることを主としています。

実績報告に関しては、月次で支給しようが年に2回の賞与で支給しようが表面上判別することはできませんが、仮に実地調査などの際に賃金台帳などの提出を求められると、簡単に判明してしまいます。

なので、月次のベースアップに充てるようにしましょう!

6. まとめ

金額自体は少額ですが、ベースアップをしたことにより職員のモチベーションがあがり、業務にいい影響をもたらしているという声はよく聞きます。

うまく運用して業績アップ、医療機関の成長に繋げましょう。

当事務所では、煩雑な運用管理、使途に関するアドバイス、計画書・実績報告書作成などを支援しております。

お問い合わせは随時受け付けておりますので、お問い合わせフォームからお願いいたします。

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