ベースアップ評価料について

ベースアップ評価料の届出のポイントについてまとめていきます。

1. ベースアップ評価料の届出のポイント

今回の「ベースアップ評価料」の届出は、これまでの施設基準の届出と大きく異なります。

まず、届出はExcelシートで作成し、メールで提出する必要があります。

さらに、「医療従事者の賃金を増やす」ことが前提となっており、賃金改善計画書をExcelで作成し添付することが求められます。また、定期的に実績を報告する仕組みが導入されています。

2. 施設基準の届出書を作成する

「ベースアップ評価料」の届出はExcelで作成しなければなりません。

Excelに不慣れな方や、レセコンからどのような統計表が出るのか分からない方にとっては、ハードルが高く、ここで断念してしまう医療機関も多いと感じます。

① 届出用紙の取得

施設基準の届出用紙は、各厚生局のWebサイトから取得できます。

厚労省のWebサイトにも「ベースアップ評価料」の特設ページがあり、様式が公開されていますが、厚生局ごとに内容が若干異なるため、各厚生局の様式を使用することをお勧めします。

② 対象職員の給与総額を算出する

次に、対象者と給与総額を算出します。届出の時期によって計算期間が異なるため注意が必要です。

また、法定福利費の対象となる「基本給等総額」と手当を含む「給与総額」を把握しておく必要があります。

賞与については、基本給や毎月支払われる手当に連動して引き上げられる分は賃金改善分として含めることができますが、業績に連動して引き上げられた分は含めることができません。

3. 毎月の診療実績を集計する

多くの先生方は毎日の来院患者数を把握していますが、「再診料」や「初診料」の算定人数を月単位で把握している方は少ないかもしれません。

例えば、午前と午後に2回来院した場合、診察料は1回のみの算定となる場合があります。

診療実績は、レセコンの「診療行為別集計表」から該当件数を抽出できます。

また、「初診料」や「再診料」に含まれる医学管理料もカウントできます。

これらを正確に把握しないと算定漏れが発生する可能性があるため、届出用紙の「記載上の留意点」や点数表の「算定要件」を確認することが重要です。

4. 賃金改善計画書の作成

賃金改善計画書の作成には、①賃金引き上げの実施方法を決めること、③金額の割り振りを決めることが必要です。

① 賃金の引き上げの実施方法を決める

基準は令和5年度の賃金と比較して、令和6年度と令和7年度に引き上げる方法を一律にするか、段階的に実施するかを決めます。

正直どちらでもいいのかなという感想ですが、あくまで計画書であるため、段階的に実施する方がしっくりくる気がします。

② 医療機関全体の賃金改善の総額を決める

令和6年度に総額でいくら引き上げるかを決め、その内訳を記載します。

「ベースアップ評価料計算支援ツール」を使用し、大まかな収入予測を基に大枠を決定します。

③ 金額の割り振り方を決める

医療機関全体の賃金改善総額を「看護職員等」「薬剤師」「看護補助者」「その他の対象職種」ごとに配分します。

そして、賃金改善前月の給与と改善後の予測値を「ベースアップ計画」として作成します。

④ ベースアップ評価料に該当しない職員のベースアップについて

ベースアップ評価料対象外職種については、基本診療料の引き上げ分を活用して賃金改善を行うことが求められます。

これにより、対象外職種の賃上げ対応も計画書に記載する必要があります。

ただしマストではない為、記載しなくてもいいのかなという印象です。

5. 賃金引き上げを行う方法

賃金引き上げをどのようにルール化し、職員に対応するかも記載します。

具体的には、①就業規則や②賃金規定の見直しなどを行い、変更内容を記載します。

6. よくある疑問点

① 計画書に記載する実績がない場合

計画書に記載する実績がない場合、(一応給与を1か月以上支給していることが、算定開始の要件となります。)どうすれば良いのかというところですが、例えば開業が3月で、算定開始を6月とする場合、給与実績は2023年3月から2024年2月までの入力を求められます。

この場合、4月開業の場合は入力する項目が表示されない為、途方に暮れることとなります。

ではどうすれば良いのか?

答えは簡単。すべての実績欄(給与総額や、算定点数、訪問看護ステーションであれば利用者数)は空欄でOKです。

各厚生局によって取り扱いは違うかもしれないので要確認ですが。。。

あくまで計画書なので、そこまで神経質にならなくてもOKだと個人的には思っています。

② ベースアップ評価料の使い方

基本給でアップするのではなく、「○○手当」として支給するやり方が都合がいいと思います。

また、そこに掛かる法定福利費も計上できる(労災保険料、雇用保険料、社会保険料、手当分の割増賃金など)ので、手当としてよけておいた方が管理もしやすいです。

また、ベースアップ評価料の算定が終了した場合にも、手当として支給しておいた方が何かと都合がいいというのもありますね。

この辺りの細かい部分は、個別の相談でお伝えしますね!

7. まとめ

複雑難解な「ベースアップ評価料」は医療事務の知識だけでは対応が難しく、しっかりと効率よく、また会社負担0でベースアップを実現するためには、ベースアップ評価料に精通した専門家のフォローが重要となります。

当事務所では、計画書の作成から月次の管理、法定福利費の計上、実績報告まで、しっかりとサポートさせていただきます。

この制度をうまく使い、会社の負担を極力減らして、従業員の賃金引き上げを実現しましょう!

お問い合わせはフォームからお願いいたします。

ベースアップ評価料について” に対して1件のコメントがあります。

  1. 医療法人社団 緑晴会 あまが台ファミリークリニック より:

    こちら読ませていただきました。全体の申し込みフォームでベースアップ加算のサポートをお願いする。メールを送りました。サポートにかかる費用など教えていただき、当方問題なければお願いしたいと思いますのでお返事お待ちしております。

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