給与計算について

人を雇用するうえで必ず毎月発生する「給与計算業務」について、気を付けるべきことについてまとめていきます。

1. 給与計算とは

給与計算とは、読んで字のごとく従業員に支払われる給与、賞与を計算することです。

また労働者の方が企業で働く理由の大きな要素であることは間違いありません。つまり企業と労働者のとても大事な約束事な訳です。おそらく給与がしっかりと支払われなければ、辞めてしまう従業員がほとんどだと思います。

よって企業が最も気を付けなければいけない業務となるのが、この「給与計算業務」といっても過言ではないでしょう。

2. 気を付けるべきこと

企業にとって最重要な「給与計算業務」。どういったことに気を付けるべきなのか。以下に5つのポイントでまとめてみます。

① 法律や規制の遵守

従業員の給与計算においては、労働法や税法、社会保険諸法令など、様々な法律や規制が関係しています。

これらの法律を遵守しなければ、企業が法的な問題に直面したり、従業員が不信感を募らせ離職してしまったりと

様々な問題が生じ、またリスクとなります。

また未払い残業代問題ももはや対岸の火事ではなく、誰でも情報を取得でき共有できる現在において、

中小企業においても訴訟が普通に起こりえる状況になっています。

少子高齢化で労働人口の減少が確定的な未来に、法令順守での給与支払いはもはや当たり前の時代であり、

それすらできない企業は労働者に選ばれず、衰退していく一方になってしまうでしょう。

② 給与明細の正確性

給与明細書は、従業員が自分の給与や控除の詳細を確認するための大切な文書です。

そういったことから、従業員が給与明細書を受け取ったときに、それが正確かつ分かり易いものであることが重要になります。

給与明細書には、従業員の基本給、各種手当、残業代、深夜手当、各種控除項目など様々な情報が含まれます。

また金額だけではなく、勤怠の正確なデータを記載することも重要と考えます。

企業はこれらの情報を正確に記入し、従業員に対して正確な給与明細書を提供することが当然の義務であり、

労使の関係強化にも繋がるという効果もあります。

③ 社会保険料や税の計算

給与から差し引かれる雇用・社会保険料や各種税金は、その個人によって異なります。

これらの雇用・社会保険料の負担や各種税金の計算を正確に計算する必要があります。

ここを間違えてしまうと、少なく計算してしまった場合は後から請求することになり、

多く計算してしまった場合は後から還付することになりますが、いずれにせよ労使間の信頼が揺らぐ原因になってしまいます。

また、実際に

・何故この金額になるのか?

・本当に合っているのか?

・勝手に引かれては困る

といったトラブルも多いです。しっかりと根拠を把握し、正確な計算が求められる項目になります。

④ 勤怠データの正確な反映

従業員が出勤した時間、退勤した時間、休憩した時間など、正確な勤怠データを反映しなければ、

従業員の給与が適切に計算されず、不公平な待遇になってしまいます。

また、勤怠データの端数を切り捨てたり(一部例外有)、事業主が勝手に記録したり、そもそもつけていなかったりする事業所は

法令遵守に反する行為となり、労働者からのクレーム・訴訟などの問題が生じる可能性があります。

まさに給与計算とは勤怠データの管理が大多数を占めるといっても過言ではなく、とても重要なものになります。

これらをしっかりと管理し、給与計算業務に落とし込むことが給与計算業務のコアになるでしょう。

⑤ システムを使う際の注意

現在のクラウドシステムや各種システムの発展により、給与計算も自社でシステムを導入して行う企業も増えてきました。

今までの手計算によるヒューマンエラー、属人性の高さによる担当者の退職などの問題を一気に解決してくれるアイテムです。

ただし初期設定の煩雑さ、イレギュラー対応、勤怠データとのリンクなど専門的な知識を持った人間が設定・運用しないと思わぬ

落とし穴がという事は本当に多いです。

システム通りにやったのにどうして?という声は多く、いかにしっかりと設定・運用が大事かを痛感します。

残業代の算定の仕方、計算式の組み方、勤怠データとの整合性など見るべき・気を付けるべき部分は多く、しっかりとした初期設 

定・運用が必要になるので、システムは万能ではないと注意して使うべきものになります。

まとめ

企業においてとても大事、しかし煩雑な業務である給与計算。

担当者が辞めてしまった場合の引継ぎなど考えるべき部分が多いのも事実です。

我々社会保険労務士は、労働法・社会保険法の専門家であり、給与計算業務においてのプロフェッショナルです。

辞めてしまうという心配もありませんので、属人的な心配もございません。

労使を繋ぐ大切な業務は専門家に任せて、本業に集中された方が、企業にとっても従業員にとっても

より良い方向に進むものと確信しておりますので、ぜひ一度社会保険労務士に相談していただく事を

お勧めします。

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